道端は春の彩り

雑草記01.ヨモギ 春の陽射しに誘われて、近所をフラフラと彷徨っていると、造成地の法面でなにやら一心不乱に草を摘んでいる初老のご夫婦が・・・聞けば、「ヨモギ」の若葉を摘んでいるとの事。 よもぎ餅。大抵の人はご存知であろう草餅の代表。 この草餅に混ぜ込まれてほのかな香りと美しい草色を醸し出すのがこの「ヨモギ」である。 知っているつもりでいた「ヨモギ」がこんな所に?見るとそこらじゅうに生えているではないか。 このよもぎ、見ての通り葉の形が菊に似ている。パッと見、「春菊」と見紛う。 どちらも同じキク科の植物である。属はヨモギ属。どこにでも生えているようだ。 地下茎をのばし増えるので群生している。葉の表面は普通に緑色だが裏面は綿毛が密生していて灰白色になっている。この灰白色の綿毛からお灸の「もぐさ」も作られるんだとか。 これからどんどん成長し、50~100センチにもなるらしい。秋には花も咲く。 この「ヨモギ」の名前の由来は確かではないが、四方に根茎をのばして繁茂するので「四方草」(よもぎ)との説や、「よく燃える草」という意味から「善燃草」(よもぎ)との説もある。 確かに葉を乾燥させれば綿毛もたくさんあるしよく燃えそうである。 ちなみに「艾(もぐさ)」の名は、燃え草という意味から来ているらしい。 物騒な事にこの「ヨモギ」織田信長の時代には「黒色火薬」の原料としても用いられていたそうだ。 今年は春が早い。まだ3月上旬だというのに道端はすっかり春の賑わいである。 しかしこの「ヨモギ」が欠かせないのは5月5日の「こどもの日」。これは「端午の節句」とも言うが、菖蒲と共に軒先に飾られたり、 お風呂に入れてケガや災厄を祓うのに用いられてきた。 こうやって見て来ると特別な植物に見えてくるが、本当にその辺に生えている草、雑草なのである。
雑草記-ヨモギ01
雑草記-ヨモギ02